エネ高で揺らぐ共和地盤=農家不満、上院候補が大接戦―中西部アイオワ州・米中間選挙



【デモイン=米アイオワ州=時事】全米屈指の穀倉地帯を抱え、農業が基幹産業の中西部アイオワ州。与党共和党の地盤で異変が起きつつある。来月3日投開票の中間選挙で、共和、民主の上院新人候補が大接戦を展開。米イラン紛争に伴うエネルギー高が農業経営を圧迫し、トランプ大統領への不満が強まっていることが影響している。

◇切実な声

収穫期を迎えた州都デモイン近郊のストーリー郡では、大豆やトウモロコシを刈り取るコンバインの音が鳴り響く。農作業に欠かせない軽油価格は昨年から2倍に高騰。アイオワ大豆協会幹部を務める農家のグラント・キンバリーさん(51)は「軽油コストは1日当たり1000ドル(約16万円)に上がった」と頭を抱える。肥料高なども響き、一般的に農家は「わずかな黒字か赤字」に直面する苦しい状況だという。

「いかなる戦争も支持しない」。民主党支援者で4代目農家のダグラス・フラーさん(70)は語気を強める。トランプ政権の高関税政策に起因したカナダなどとの通商摩擦にも憤りを示し、「自由で開かれた貿易であるべきだ」と力説する。

アイオワはトウモロコシ、豚肉の生産量が全米1位。農家は共和党を支持する傾向が強く、トランプ氏は2024年の大統領選で民主党のハリス副大統領(当時)に圧勝。連邦議会上下両院を共和党が独占する保守地盤だ。

ところが上院では、共和党のアシュリー・ヒンソン下院議員と、車いすバスケットボールのパラリンピックメダリストで民主党のジョシュ・トゥレク州下院議員が激しく競り合う。トゥレク氏が僅差でリードする調査結果も散見される中、民主党が上院で議席を獲得すれば18年ぶりとなる。

◇危機感

危機感を覚えたトランプ氏は今月22日にアイオワ入りし、共和党支持を訴えた。軽油高騰を受けて打ち出した80億ドル(約1兆3000億円)の支援策に触れ「(農家の苦境を)気にかけている」とアピール。勝敗を左右する農業票のつなぎ留めに躍起だ。

集会に訪れた70代の養豚農家の男性は政策に「100%」同意すると明言。大型減税などを評価する農家が少なくないのも実情で、「それほど支持は弱まっていない」(アイオワ養豚協会のマクゴネガル最高経営責任者)とみる向きもある。

◇トランプ離れ

民主党を支持する農家のジョシュ・マンスクさん(37)は「(周囲は共和党員ばかりだが)彼らは選挙に行かない」と予想。共和党に投票するか迷いが生じているもようでトランプ離れの気配が忍び寄る。デモインなどの選挙戦略を担う民主党のブラーチ氏は「トランプ氏は農家を助ける視点が足りない。変化の時だ」と期待を込める。

上院選での当選に向け、トランプ色を薄めて票の掘り起こしを狙うヒンソン氏はエネルギー高に終止符を打つため「(イラン紛争を)すぐに終わらせる必要がある」と強調する。

トゥレク氏は紛争を巡り、議会の承認がない限り米軍を撤収するよう求める決議案にヒンソン氏が反対を貫いていることを批判し、「紛争終結が優先事項だ」と主張する。さらに米テレビインタビューで、トランプ氏の仕事ぶりを評価し、共和党支持者にも秋波を送る。

共和党のソレンセン州下院議員は、エネルギー高への不満が収まらなければ、民主党が躍進する「ブルーウェーブ(青い波)」が起きる可能性も排除できないと警戒。結果の予想は「大変難しい」と険しい表情を浮かべた。

【時事通信社】 〔写真説明〕大豆を収穫するコンバイン=23日、米アイオワ州 〔写真説明〕取材に応じる農家のダグラス・フラーさん=22日、米アイオワ州 〔写真説明〕連邦議会上院選に出馬している共和党のアシュリー・ヒンソン下院議員=15日、米アイオワ州(AFP時事) 〔写真説明〕連邦議会上院選に出馬している民主党のジョシュ・トゥレク候補(左)=21日、米アイオワ州

2026年10月28日 20時36分


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