
【ソウル時事】韓国の李在明大統領は、中国の習近平国家主席との首脳会談を「バランス外交」(専門家)再構築の転機と位置付けた。日米が中国の台湾政策などを巡るリスクに備える中、悪化していた対中関係を修復して経済協力強化につなげ、北朝鮮問題での協力の取り付けを狙った。
「韓中関係の全面的な修復という歴史的流れを強固にする契機になることを願う」。李氏は5日、北京での習氏との会談でこう強調した。昨年6月の大統領就任後、米国より先に日本を訪問。日韓関係の安定化や米国との通商問題の解決に取り組んだ後、中国との関係改善の動きを本格化させた。今回の国賓訪中は、10月の韓国での米中首脳会談以降、米中緊張緩和の兆しが見えた局面で調整された。
ただ、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言に中国が反発。李氏は米中両国の間で「韓国の戦略的自律性」を確保する必要性を唱えつつ、日中対立から距離を置く姿勢を示しているが、中国側は対日批判で同調を求める。
折しも、訪中直前に米国がベネズエラを軍事攻撃した。中国が米国の攻撃を「国際法違反」と強く非難する一方、韓国政府は「対話による安定」を求める声明を出すにとどめている。米国の同盟国である韓国としては、中国に明確な立場表明を求められれば難しい対応を迫られる。
李氏が対中関係改善に腐心する背景には、韓国経済が中国に大きく依存しているという事情がある。中国は最大の貿易相手国で、一部重要鉱物の依存度は実に8割超。5日に北京で開いた「韓中ビジネスフォーラム」で李氏は「韓中は同じ波を乗り越える船という立場だ」と訴え、供給網での連携や文化コンテンツなどの市場開拓を呼び掛けた。中国が非公式に韓国の芸能や公演などを制限していることを念頭に置いた発言とみられる。
韓国では、今年4月に予定されるトランプ米大統領の訪中が、北朝鮮との対話再開のきっかけになるという見方がある。中国の「建設的役割」(韓国高官)に期待する向きもある。ただ、習氏は会談の冒頭発言で北朝鮮への言及を避け、中韓の温度差をのぞかせた。韓国側が求める「実利」を引き出せるかは不透明だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕5日、北京で開かれた「韓中ビジネスフォーラム」で演説する韓国の李在明大統領(EPA時事)
2026年01月06日 15時28分