台湾電子部品大手ヤゲオは21日までに、センサー大手の芝浦電子に対して行っていたTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。両社は同日、東京都内で記者会見を開き、ヤゲオが強みを持つ欧米や中国の市場で、芝浦電子が主力とする温度センサーの販売拡大に取り組む方針を表明。芝浦電子の葛西晃社長は「ヤゲオとは補完し合い、企業価値を向上できる」と述べた。
TOB期限の20日までに約87%の応募があった。芝浦電子はヤゲオの子会社となり、2026年1~3月期までに上場廃止となる予定。ヤゲオのピエール・チェン会長は「芝浦の技術は人工知能(AI)などで使える。海外に行くべきだ」と強調。世界の顧客に芝浦電子の製品を売り込む方針を示した。
ヤゲオは今年2月、芝浦電子の同意を得ずにTOB実施の意向を表明。反発した芝浦電子がベアリング大手のミネベアミツミに助けを求め、同社とヤゲオが5月にTOBを開始した。
しかし、ヤゲオの買い付け価格が上回っていたことなどから、同社のTOBが今月20日に成立した。葛西社長は「当初は進め方に違和感を覚え、反対を表明した。面談を重ねて理解し合い、(違和感を)払拭した」と説明した。
〔写真説明〕記者会見で握手するヤゲオのピエール・チェン会長(左)と芝浦電子の葛西晃社長=21日午後、東京都千代田区
2025年10月21日 20時00分