24年度の労働生産性0.2%上昇=実質賃金上昇へ「1%超」継続を―生産性本部



日本生産性本部がまとめた2024年度の就業者1人当たりの労働生産性は、物価を勘案した実質ベースで前年度比0.2%の上昇と4年連続のプラスとなったものの、上昇率はゼロ近辺にとどまった。同本部の木内康裕上席研究員は、政府目標である実質賃金1%の上昇を定着させるためには、労働生産性で「1%超の伸びが必要」と指摘し、さらなる向上が課題となっている。

運輸・郵便業や金融・保険業、情報通信業で生産性が改善。働き方改革に伴う効率化や、大手物流センターの自動化が進んだほか、店舗のセルフレジ普及も寄与した。木内氏は「学習支援分野は、社会人のリスキリングなど潜在需要への業態転換が追いついていない」と述べ、今後の伸びしろに期待感を示す。

一方、自動車業界は認証不正により生産が落ち込み、総じて振るわなかった。

労働生産性の上昇は長期的に賃上げとの相関性が強いとされる。賃金が力強く伸びた70~80年代には年3%以上も珍しくなかったが、00年度以降は3%未満が大半で、24年度まで直近3年間の上昇率は0.1~0.9%の範囲にとどまった。

木内氏は実質賃金の上昇を定着させるためにも「高市早苗政権は、人工知能(AI)・半導体など17分野で掲げる成長戦略の実行に加え、人手不足が深刻化する地方企業に対し、(就業者の生産性向上につながる)設備投資を減税などで後押しすることが不可欠だ」と強調する。

2025年11月16日 07時10分

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