
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、同県の花角英世知事は21日、臨時記者会見を開き、再稼働容認の意向を表明した。国に対し、安全性のさらなる向上など7項目の対応を求めた。来月2日に開会する県議会も同意するとみられ、再稼働に必要な地元手続きは年内にも完了する見通し。
会見で花角氏は「(7項目について)確約を頂いた上で、新潟県としては(再稼働を)了解することとしたい」と表明。県民の意思を確認する手法として「(容認)判断に沿って知事の職務を続けることについて、県議会から信任、不信任を判断いただきたい」と述べた。
県民意識調査の結果、安全や防災対策についての認知度が高くなるほど、再稼働に肯定的な意見が増える傾向だったとした上で、「正確な情報の提供や周知を継続していけば、理解も広がるのではないかと判断した」と説明。「新規制基準に合格しているものを合理的な理由もなく止めることは難しい」と明かす一方で、「原発事故の教訓、知見を踏まえて幾重にも安全対策が講じられていると思う」と話した。
実際に再稼働した場合、2011年の福島第1原発事故後、東電の原発では初となる。関係者によると、使用前検査などが順調に進んだ場合、早ければ年度内にも再稼働するとみられる。
柏崎刈羽原発は12年3月以降、全7基が運転を停止している。うち6、7号機は再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に合格。6号機は今年10月に技術的な準備を完了しており、花角知事の判断が焦点となっていた。
県は12月の県議会定例会に再稼働の関連予算を提出する。
政府は再稼働への理解を得るため、8月に財政支援の対象自治体を原発の10キロ圏内から30キロ圏内に広げる方針を公表。10月には避難路整備に必要な経費を全て負担すると表明した。
東電も地元の要望を受け1、2号機の廃炉に向けた検討入りを表明。県内での新事業創出や雇用促進のため、総額1000億円規模の資金を拠出する支援策を打ち出していた。
ただ、県民意識調査では再稼働に肯定的な人が全体の50%、否定的な人は全体の47%と拮抗(きっこう)。30キロ圏内の9市町村では、4市で再稼働に否定的な回答が過半数を占めていた。
花角氏は、国の要請を受けてから1年半以上たったことを挙げて、「どこまで(理解が)広がった時が決め時なのか、難しい判断だ」と指摘。東電に対しては「できるだけ信頼を回復すべく努力してもらいたい」と注文を付けた。
〔写真説明〕臨時記者会見で東京電力柏崎刈羽原発の再稼働容認を表明する新潟県の花角英世知事=21日午後、新潟市
2025年11月21日 19時44分