
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は9、10両日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金融政策を協議する。雇用鈍化が続いており、市場では3会合連続で0.25%利下げを決めるとの観測が高まる。一方、トランプ政権の高関税政策で、物価は緩やかながらも上昇基調にあり、FOMCでは、インフレ懸念から金利据え置きを主張する向きもありそうだ。
政府機関の一部閉鎖により、雇用やインフレ関連の重要統計で、直近分の発表がFOMC後に延期された。こうした中、雇用統計の有力な代替とされる11月のADP全米雇用報告では、非農業部門の民間就業者数が前月比3万2000人減と、予想の1万人増を大きく下回った。労働市場の減速傾向は鮮明となりつつある。
ただ、インフレ動向を巡っては、FRB高官の間で意見の相違が顕著だ。FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数上昇率は2.8%と、目標の2%を相当上回る。「依然高過ぎる」(ローガン・ダラス連邦準備銀行総裁)と声が上がる一方で、「関税の影響を除けば2%に引き続き向かっている」(ジェファーソンFRB副議長)との見方も根強い。
FRB内で見解が割れる中、トランプ政権は露骨に金融緩和を求め、圧力を強める。次期議長の最有力候補に取り沙汰されるホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は、米テレビのインタビューで「FRBは利下げすべきだ」と明言した。
特にFOMCに参加する12人の地区連銀総裁の間では、インフレを懸念し、金利据え置きを主張する声が強い。ベセント財務長官は、地元と縁が薄いのに指名される例が少なくない連銀総裁について、管轄地区での「少なくとも3年間」の居住を要件として提案し、揺さぶりをかけている。
〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)本部=9月16日、ワシントン(AFP時事)
2025年12月08日 17時57分