販売好調も「稼ぐ力」課題に=近社長、利益改善へにじむ危機感―トヨタ



トヨタ自動車の2026年3月期連結決算では、北米を中心に新車販売が好調を維持し、売上高に当たる営業収益が初めて50兆円を突破した。ただ、米国の高関税政策が重荷となり、利益は大幅に減少。中東情勢の緊迫化などで事業環境が悪化する中、収益力低下への危機感は強い。4月に就任した近健太社長は「稼ぐ力」を強化する必要性を強調した。

「一つ一つの無駄を見つけて、一つ一つ構造を変えていく。変革していく」。8日のオンライン記者会見で、近社長は収益力の強化に向けた意気込みをこう表現した。

26年3月期は逆風の中でも3兆8480億円の純利益を確保したが、米関税などが響き、過去最高だった24年3月期の5兆円近い水準からは大幅に落ち込んだ。27年3月期には中東情勢の緊迫化による資材や燃料費の上昇が利益を圧迫する見通しで、「お家芸」のコスト削減などではね返すのは容易ではない。

トヨタでは、3月から中東向けの車の減産を開始。海外での減産は今年後半まで及ぶ見通しで、仕入れ先も「すでにかなりの影響を受けている」(トヨタ系部品大手)という。部品などの素材の原料に使われるナフサの調達は「数カ月先まで見通せない」(部品メーカー幹部)状況。塗装に欠かせないシンナーの調達不安も大きい。

近社長が掲げるのが、効率化と収益源拡大を同時に進める「事業構造改革」だ。世界的な生産車種を再編し、必要な部品の点数を削減。販売面では、修理や点検、装備更新などで得る「バリューチェーン収益」の一層の拡大にも取り組む。車だけでなく多様な「モビリティー(移動手段)」やロボットの開発にも力を入れ、「稼ぐ力を引き上げる」(幹部)考えだ。

トヨタでは近年、人材投資やインフレの影響で、利益を出すのに必要な新車販売数を示す独自指標「損益分岐台数」の水準が上がり続けている。近社長は「上昇傾向に歯止めがかかっていない」と危機感をにじませ、中東情勢などの逆風への耐性を高めるためにも、事業構造改革を急ぐ考えを強調した。

〔写真説明〕オンラインの決算説明会に臨むトヨタ自動車の近健太社長(左から2人目)ら=8日午後

2026年05月09日 07時06分


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