トランプ米政権は、人種差別の歴史を伝える博物館や史跡を「修正主義的」と呼び、展示の見直しを迫ったり、予算・人員を削減したりしている。強制収容を経験した日系人の間では、「私たちの歴史が消されるのでは」と懸念が広がる。
西部アイダホ州のミニドカ収容所が国定史跡に指定されたのは2008年と比較的新しい。当時の建物はほとんどが取り壊されており、資料や生活品の復元・保全作業が続いている。
ここで生まれたドロシー・スヤマさん(82)。両親が強制収容されていたことは、家族の系譜を紹介する中学の課題に取り組む中で初めて父から聞かされた。発表文につづると、担任は「米国に強制収容所などない」と言い放った。事実関係を知らない様子だった。
スヤマさんはクラスでただ一人、発表を中断させられた。「うそつき呼ばわりされ、軽蔑された」。米国民が不都合な歴史を学ぶ機会は少なく、史実を語る大切さをかみしめている。
ロイ・ウェズリーさん(83)は、収容の時代を生き抜いた両親の物語を本に書き記してきた。「生い立ちや国籍を顧みずに移民が強制送還される現状と、日系人収容には多くの類似点がある」と感じるからだ。政権が望む価値観に沿う白人集団でなければ、忘れ去られてしまう。そんな危機感があるという。
畜舎に住まわされ、栄養失調で母乳が出ない中でも自分を育ててくれた母。収容所の運営を手伝いながら、眼科医として無償で同胞を助けた父。「政府が日系人にした仕打ちは忘れられない。だからこそ、伝え続けることが重要だ」(ジェローム時事)。
〔写真説明〕ドロシー・スヤマさん(右)=7月12日、米西部アイダホ州ツインフォールズ
〔写真説明〕取材に応じるロイ・ウェズリーさん=7月11日、米西部アイダホ州ツインフォールズ
2025年08月15日 12時39分