ウクライナ・識者談話



◇ロシアの対話姿勢はポーズ

山添博史・防衛研究所米欧ロシア研究室長(ロシア安全保障)の話

ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は、米ロ首脳がロシア・ウクライナ直接協議の代表団の格上げを議論したと言っているだけで、両国の首脳会談には言及していない。大事な決定に近づく段階になれば、プーチン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領との直接協議に応じる可能性はあるが、すぐには実現しないのではないか。トランプ米大統領がロシア側に期待し過ぎている感もある。

ロシアは6月、ウクライナとの直接協議の覚書で、東・南部4州からのウクライナ軍の撤退や対外軍事協力の放棄、軍備縮小などを要求した。軍事侵攻のそもそもの狙いは、ウクライナを影響下に置くことだ。ウクライナが他国から「安全の保証」を得ることは、その目的を放棄することになる。

ロシアは代償がなければこの要求を取り下げられず、また米国がロシアに与えられる十分な代償も見えてこない。プーチン氏が合意に応じる動機がなければ、協議に応じるふりを続ければよく、現段階ではそれを想定する必要がある。

〔写真説明〕山添博史

防衛研究所米欧ロシア研究室長(本人提供)

2025年08月20日 12時38分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース