文政権4年に「ノー」=問われた失政・偽善―韓国



【ソウル時事】7日行われたソウル・釜山市長選で問われたのは「文在寅政権の4年」だった。不動産価格高騰に代表される「失政」と、高官の相次ぐ「偽善」に有権者は「ノー」を突き付けた格好。政権初期に8割以上の支持を誇った文大統領の求心力の衰えが浮き彫りになった。

文政権下でソウルのマンション価格は1.5倍以上に高騰したとされるが、政府が何度価格抑制策を打ち出しても効果はなかった。恩恵を受けたのは居住用とは別に投機用の不動産を所有できる富裕層だけ。庶民は「持ち家」に手が届かず、中流層でも「他のマンションも高騰しているので、より広い家に引っ越すこともできない」(40代会社員)状況だ。

文大統領は、親友の国政介入という不正が発覚した朴槿恵前大統領に対する大規模デモ、弾劾を経て就任。1980年代に民主化を成し遂げた勢力がルーツの政権・与党は「正義」「公正」を口癖のように繰り返してきた。

しかし、不動産価格高騰への不満が積もる中、政府高官が投機目的で複数の不動産を所有している事例が相次ぎ、国民は反発。さらに土地住宅公社職員らが、内部情報を利用して値上がりなどを狙い不正に土地を購入した疑惑が浮上し、政権への決定的な打撃となった。

ソウル市立大グローカル文化・共感社会研究センターが3月31日に公表した「公正性」をテーマにした世論調査で、文政権の支持層だった革新・中道層でも「社会は不公正」との答えが60%近くに上った。今回の選挙は、こうした支持層が政権に背を向けたことを示した。与党関係者は「不動産問題の解決は難しく、逆風は続くだろう」と語る。

与党の次期大統領選レースで支持率トップの李在明・京畿道知事は政権と距離を置く非主流派。大統領任期が残り約1年となり、与党内でも「文在寅離れ」が強まりそうだ。

〔写真説明〕韓国の文在寅大統領

2021年04月07日 22時29分


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