特殊詐欺スキーム生かし強盗も=組織とは別に「暴走」か―首都圏強盗・福地容疑者ら



強盗事件の首謀者として逮捕された職業不詳福地紘人容疑者(26)は当初、準暴力団員らと特殊詐欺などで金を稼いでいたが、強盗も企てるようになったとみられる。ある捜査関係者は「特殊詐欺で確立したスキームを使い、組織とは別に、手っ取り早く金を得ようと『暴走』したのではないか」とみている。

捜査関係者によると、特殊詐欺では、拠点や携帯電話などの確保のほか、電話をかけるかけ子や詐取金を受け取る受け子の管理など、組織的に役割分担。福地容疑者は受け子や回収役に指示する立場として、複数の特殊詐欺に関与したことが分かっている。

同容疑者は自らリクルートした回収役の男(26)と秘匿性の高い通信アプリでやりとりするなどして関係性を構築。素性は明かさないものの、アカウント名を変更する際は事前に伝えるなどして、金を持ち逃げされない信頼関係を維持していた。

この男は、同容疑者が関与したとみられる一連の強盗でも、たびたび強奪品回収役を任されるなど重要な役割を果たした。

組織的に行う特殊詐欺では、詐取金は上位者に上納される仕組みで、捜査関係者は「福地容疑者の実入りは少なかったはずだ」と指摘する。

こうした背景から、同容疑者らは自らの取り分を増やすため、組織とは別に金を稼ごうとした結果、実行役と回収役だけで完結する強盗に手を出した可能性があるという。

今回逮捕された4人は、同学年という共通点から、匿名・流動型犯罪グループを組織。それぞれが実行役や回収役に1対1で綿密な指示を出すなど、「誰か1人が欠けたら完遂できないような関係」(捜査関係者)で、事件を繰り返していたとみられる。

このうち、福地容疑者ら3人は昨年11月、成田空港から韓国へ出国しようとしていたところ、千葉県警に知人のトラブル相手を殴った傷害事件で逮捕された。押収されたスマートフォンから強盗事件の回収役に関するデータが見つかり、4人の関与が浮上したという。

〔写真説明〕連続強盗の指示役逮捕で合同記者会見に臨む警視庁の親家和仁刑事部長=5日午前、東京・霞が関の警視庁 〔写真説明〕千葉県市川市の強盗致傷事件を指示したとして逮捕された福地紘人容疑者=7月30日、東京都江東区

2025年12月05日 14時33分


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