SNSで応募、逃げ出せず=実行役、報復恐れ加担―首都圏強盗



首都圏で連続発生した強盗事件で、警視庁などの合同捜査本部は、これまでに50人以上の実行役らを逮捕した。多くは金に困ってSNSの投稿に応募し、逃げないよう脅されて強盗などをさせられていた。ある実行役の男は公判で「金欲しさだった。楽に稼げる仕事なんてなかった」と後悔を口にした。

「ホワイト案件」「即日即金」。多くの実行役はこうしたSNSの投稿を見て応募していた。秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で身分証などの個人情報を伝えると、「空き巣」や「運び」などの仕事を提示され、現場へ向かう途中で半ば強制的に強盗に加担させられたケースもあった。

移動中などはほぼ指示役の監視下に置かれ、中には逃げ出さないように血まみれの男の写真が送り付けられていた実行役もいた。

「拷問されると思って逆らえなかった」。東京都と埼玉県での強盗致傷事件で実行役だった男(26)は、東京地裁立川支部で開かれた公判でこう振り返った。

男は800万円を超える借金返済のため応募。埼玉の事件では、一度は現場から逃走しようとしたが、指示役から「早く戻れ」とイヤホン越しに叱責され、恐怖心から戻った。「縛れ」「たたけ」。指示されるままに動き、被害者がけがをしたことは逮捕後に知った。「罪の重さを捕まってから理解した。被害者に申し訳ない」とうなだれた。

神奈川県で発生した強盗致傷事件などの実行役の男(22)は、横浜地裁での公判で、「捕まらない」という指示役の言葉をうのみにして現場へ向かったと説明した。

当初は窃盗と言われていたが、移動中に、実は強盗だと知った。「怖くなった」が、帰宅するための電車賃もなく逃げ出すこともできなかったという。「どんなに失敗しても20万~30万」と言われた報酬も、実際は4万円のみ。「うまくいけば、という甘い考えだった」と反省の言葉を述べた。

2025年12月05日 14時35分

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