日本列島の祖先、解明に迫る=「最古の石器」発掘の冠遺跡群―地域おこしにも一役・広島



広島県廿日市市吉和の冠遺跡群で2024年、日本最古とみられる石器が見つかり、今も発掘調査が続いている。主導する奈良文化財研究所の国武貞克主任研究員(51)は「世界とつながる日本随一の遺跡。日本列島における人類の歴史を探りたい」と意気込む。発掘の一般公開には多くの市民が訪れ、関連商品も誕生するなど地域おこしにも一役買っている。

30万~20万年前にアフリカで出現した現生人類(ホモ・サピエンス)は、ユーラシア大陸を経て世界に広がった。国武さんは国内外の石器発掘を通じ、人類の列島進出の足跡をたどっている。

国武さんは23年、冠遺跡群で発掘を始めた。翌24年には「尖頭器」と呼ばれる石器が見つかり、放射性炭素年代測定で4万2300年前のものと判明。人類の列島到達は従来、3万8000年前ごろと考えられてきたが、年代が確定すれば5000年近くさかのぼることになる。

大きな発見となったが、国武さんは「古ければ良いという価値観は大きな間違い」と指摘する。念頭にあるのは、00年に発覚した旧石器捏造(ねつぞう)問題だ。「大事なのは確かさ。国内で古さを競うのではなく、世界地図の中に位置付けることで列島の歴史を知りたい」と力を込める。

発掘が続く冠遺跡群では、地元の関心も高まっている。今月の一般公開には、2週間で延べ約650人が訪れた。祖父母と見学した廿日市市の小学4年湯田央一朗さん(10)は「4万年前は想像できないけどロマンチック。大きな石器を見てみたい」と目を輝かせた。

地元の商店で働く光井亜湖さん(41)は、石器にちなんだキャラクターを独自に考案。市内の人気和菓子店とコラボレーションしたどら焼きを販売しており「県内外の人に『最古の場所』を知ってもらいたい」と願う。同市の松本太郎市長は「個人的にも大きな期待をしている」と述べ、教育や観光資源として遺跡群の活用を目指す考えを示した。

〔写真説明〕冠遺跡群から出土した、4万2300年前のものとみられる尖頭器=2024年9月、広島県廿日市市(国武貞克さん提供) 〔写真説明〕冠遺跡群の発掘調査を見学し、国武貞克さん(手前右)から説明を聞く市民ら=5日、広島県廿日市市 〔写真説明〕冠遺跡群の石器にちなんだキャラクターが描かれたどら焼き=5日、広島県廿日市市

2026年09月23日 07時04分


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