
都市と自然の共生を目指し、東京・銀座のビル屋上でミツバチを飼育する取り組みが今年で20年を迎えた。蜂蜜の年間採取量は当初の150キロから約2.8トンに増加。活動は都市養蜂のロールモデルとして全国に広がっており、担当者は「都市の環境を考える一助になれば」と話している。
取り組みは2006年3月、銀座で働く有志らが中央区銀座3丁目の11階建てビルの屋上に巣箱3個を設置して始めた。「銀座ミツバチプロジェクト」と題し、現在では銀座や大手町のビル屋上に巣箱50個ほどを設置し、50万~60万匹のミツバチを飼育する。
プロジェクトのメンバーは4~7月末、これらのハチが運んできた蜜を収穫する。昨年採れた蜂蜜は約2.8トンで、一部をインターネット上で販売するほか、地元の百貨店やレストランなどで使用されている。
都心における養蜂の取り組みは、全国で広がっている。NPO法人「サッポロ・ミツバチ・プロジェクト」(札幌市)は10年から、まちづくりや地域活性化を目的に市内のビル屋上に巣箱を設置。インターネットの記事で銀座の取り組みを知ったことがきっかけだ。
活動開始に当たり銀座ミツバチプロジェクトのメンバーから養蜂のノウハウなどについて助言を受けた。同NPO法人の酒井秀治理事長(51)は「ミツバチを通じ、人が集まる場所ではなかった屋上で交流が生まれた」と手応えを示す。
都市養蜂はビル屋上のほか、名古屋市役所や島根県益田市の萩・石見空港、明海大(千葉県浦安市)の屋上や敷地内でも行われている。東京都清瀬市役所の屋上で採取した蜜の一部は、ふるさと納税の返礼品として提供されている。
銀座ミツバチプロジェクトは発足当初から、地元の小学校などで環境教育を行っており、これまでに養蜂場の見学会や都市と自然の共生をテーマにした講演会などを開催してきた。田中淳夫副理事長(68)は「都市環境を巡る課題を一緒に考えるため、世界にも取り組みを広げていけたら」と意気込んでいる。
【時事通信社】
〔写真説明〕東京・銀座のビル屋上で養蜂活動を行う「銀座ミツバチプロジェクト」の田中淳夫副理事長=6月、東京都中央区
2026年09月22日 07時28分