
横綱に昇進して5場所目。最高位として初めての賜杯獲得を目指す豊昇龍は劣勢のまま土俵下まで転がり落ちた。悔しさを押し殺すように唇をゆがめる。もろさが浮き彫りとなる内容での黒星発進。心中は穏やかではないだろう。
左から張って出たが、伯桜鵬の鋭い出足を止められずに後退する。苦し紛れの右からの上手投げも不発。一方的に寄り倒され、支度部屋では、付け人を通じて取材に応じない意向を示した。
いきなりつまずいた。八角理事長(元横綱北勝海)は「当たって(相手の圧力を)逃がすのではなく、軽くいった。小手先で取ろうと思っている」と言い、立ち合いから自身の力を伝える取り口を求めた。改善できなければ、「がたがたいく可能性はある」と続け、大崩れの前触れになりうると指摘した。
149キロ。大柄ではない体で、前傾姿勢を保って攻めてくる相手と馬力で勝負する策を選ばなかったのは弱気の表れか。心身を立て直し、一年納めの場所で横綱の意地を示したいところだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕伯桜鵬(右)は豊昇龍を寄り倒しで破る=9日、福岡国際センター
2025年11月09日 20時51分