
小学生の頃、相撲はテレビ中継が終わる午後6時まで見ていた。だから、藤ノ川は自身初の結びの一番を「昔からの夢の舞台」と表現した。憧れの場所に立ち、真っ向勝負を貫いて豊昇龍を撃破。横綱初挑戦だった3日目の大の里に続き、2連破を果たした。
「横綱相手に思い通りの相撲は取れない。体が動いてくれた」。低く、鋭い当たりで中に入って相手を起こす。豊昇龍を防戦一方にして、タイミング良くはたいた。「自信になる。うれしい」と表情を緩めた。
名門の埼玉栄高出身。父で、元幕内大碇の甲山親方は角界入り後のやりとりを笑顔で明かす。「大相撲に入った時、気楽やと言っていた。団体戦ではなく個人戦だけやから。ずぶとい」。責任感が強い21歳の新鋭。きっぷのいい取り口を磨き続け、横綱を倒すだけの地力を備えた。
自己最高位の東前頭2枚目。浪速の土俵でブレークの予感が漂う藤ノ川。大の里戦の懸賞金は父に渡したという。2日続けての大活躍に、「きょうはご祝儀をもらわないと」と軽口が飛び出した。
【時事通信社】
〔写真説明〕豊昇龍(左)をはたき込みで破る藤ノ川=11日、エディオンアリーナ大阪
2026年03月11日 20時54分