
スポーツ観戦の醍醐味(だいごみ)は、同じプレーに歓声を上げ、同じ瞬間に心を震わせる「共有体験」にもある。一方で、視覚や聴覚に障害がある人の中には、現地観戦を諦めている人も少なくない。そんな課題の解決に挑むのが、トヨタ・モビリティ基金の「Mobility
for
ALL」プロジェクトだ。
プロジェクトが目指すのは誰もが好きな場所に行けたり、体験の機会を広げたりできる社会の実現だ。国内外からアイデアを募り、社会実装に向けた取り組みを支援している。
昨年はバスケットボール男子B1リーグ、アルバルク東京の試合でスポーツ観戦をテーマに実証実験が行われた。歓声や拍手、応援コールなど会場の盛り上がりを文字情報として可視化する仕組みを検証。触覚タブレットと音声解説を組み合わせた技術も試された。視覚や聴覚に障害のある参加者から「試合の展開についていくことができた」「また現地で観戦したい」といった声が寄せられた。
トヨタの担当者は「私たちは技術を開発するのではなく、世の中のアイデアを集めて社会実装を支援している」と説明。資金支援に加え、当事者との接点づくりや実証の場を提供する。「スポーツのわくわくやドキドキは障害の有無に関係なく楽しんでほしい。みんなで現地観戦を楽しむことを大事にしている」と話した。
プロジェクト名の「Mobility(モビリティ)」には、単に動くだけでなく、「心が動く」という意味が込められている。技術はあくまで手段にすぎない。その先に、誰もが同じ空間で感動を分かち合える未来がある。実証実験で得られた成果を社会に広げる取り組みは、これからさらに広がっていく。
【時事通信社】
〔写真説明〕バスケットボール男子B1リーグ、アルバルク東京戦で触覚タブレットを操作する観客(C)ALVARK
TOKYO
〔写真説明〕バスケットボール男子B1リーグ、アルバルク東京戦での触覚タブレットを使った実証実験の様子(C)ALVARK
TOKYO
2026年06月12日 07時07分