保守野党首位揺るがず=極右躍進へ―ドイツ総選挙まで1週間



【ミュンヘン時事】ドイツ連邦議会(下院)選挙(23日投開票)が1週間後に迫っている。保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、難民対応で「極右政党と協力した」と批判を浴びるも、支持率3割前後で首位は揺るがず。政権奪取には連立が必須で、ショルツ首相率いる中道左派与党・社会民主党(SPD)との「大連立」が有力視されている。

ドイツでは移民や難民が絡む無差別殺傷事件が立て続けに発生しており、13日には南部ミュンヘンでアフガニスタン人の男が車でデモ隊に突入し、30人以上が負傷した。次期首相最有力のメルツCDU党首は「法と秩序を隅々まで行き渡らせる。ドイツには変化が必要だ」と述べ、これまでの寛容な移民政策からの転換を訴えた。

メルツ氏は先月末、政界でタブー視されている極右「ドイツのための選択肢(AfD)」の協力を得る形で、難民受け入れの厳格化を政府に求める議会決議を通した。数十万人規模の反対デモが起きたが、支持率はほぼ動かなかった。中道層に保守とリベラルの分断が生じているもようだ。

支持率約2割のAfDのワイデル共同党首は、米富豪イーロン・マスク氏ら影響力を持つ国外支援者と交流し、有権者の警戒心を解くことに腐心。第2党へ躍進が予想されるが、連立入りはなさそうだ。

現在連立政権を構成するSPDと環境政党・緑の党は支持率15%前後で伸び悩んでいるが、どちらかがCDU・CSUと組んで与党に残る可能性がある。ただ緑の党に対しては、強引に気候変動対策を進めたとして、特に保守的なバイエルン州を基盤とするCSU内に忌避感が強い。

親ビジネスの自由民主党(FDP)など少数政党3党は、比例の議席獲得に必要な得票率5%前後で推移。3党全てが5%を超えれば大政党の議席配分が減り、連立の組み合わせが複雑になる。選挙戦を通じて移民政策や極右政党の動向が注目され、温暖化や経済再建策の議論は低調だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕ドイツ・キリスト教民主同盟のメルツ党首=13日、ベルリン(EPA時事)

2025年02月17日 12時43分


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