【ロンドン時事】デンマーク領グリーンランドで11日、議会(定数31)選挙が行われる。デンマークからの独立問題が主な焦点だ。トランプ米大統領が「国際的な安全保障」を理由にグリーンランド領有に繰り返し意欲を示す中、人口約5万7000人の小さな自治体の選挙が世界の注目を集めている。
かつてデンマーク当局が先住民女性に強制的に避妊措置を取ったり、先住民の子供を家族と引き離して本土で教育したりした過去も影響し、グリーンランド住民は独立志向が強い。現地報道によると、ほぼ全政党が独立を支持。だが、自治政府予算の約半分をデンマークの補助金に頼っていることから、進め方や時期を巡って意見の相違がある。
独立には住民投票で賛意を得た上で自治政府とデンマーク政府の交渉を経て、最終的にデンマーク議会の同意が必要となる。選挙後に発足する自治政府が、独立の是非を問う住民投票に踏み切る可能性もある。
ただ、グリーンランドは漁業が中心で、天然資源などの開発は進んでいない。産業基盤が整わない中で独立を性急に進めれば、経済支援を通じた米国の影響力が強まるとの指摘もある。
1月下旬に行われた世論調査では、米国による領有に85%の住民が「ノー」と回答。エーエデ自治政府首相は今月5日、SNSに「われわれは米国人にも、デンマーク人にもなりたくない」と投稿した。
【時事通信社】
〔写真説明〕グリーンランド議会選挙を前に討論する候補者=6日、ヌーク(AFP時事)
〔写真説明〕グリーンランドの中心都市ヌーク=7日(AFP時事)
2025年03月11日 12時38分