【カイロ時事】パレスチナのイスラム組織ハマスは15日、自治区ガザでのイスラエルとの停戦合意に基づき、新たに人質3人を解放した。イスラエルは同日正午(日本時間同午後7時)までに解放が実現しなければ戦闘を再開すると警告していた。
3人の解放により、停戦崩壊の危機は回避された。ただ、イスラエル側は残る人質について、日程を前倒しした引き渡しを模索しているとされる。今後も解放を巡る相違が浮上する可能性があり、停戦が維持されるかどうか不安定な状況が続きそうだ。
人質の解放は1月の停戦発効後6回目。期限より1時間半以上前に実現した。解放されたのは20~40代のイスラエル人男性3人で、それぞれ米、ロシア、アルゼンチンとの二重国籍。イスラエルは引き換えに収監中のパレスチナ人を釈放した。釈放の対象者は369人。
ハマスは今月10日、イスラエルがガザに搬入される支援物資を制限するなど、合意違反を犯していると非難し、人質解放の延期を表明した。これを受け、仲介に当たる米国のトランプ大統領は期限までに「人質全員」を解放するよう要求していた。
イスラエル首相府は15日の声明で「米国の全面協力の下、人質全員のできるだけ早期の帰還に向けて取り組んでいる」と説明。その上で「あらゆる事態に備えている」と述べ、戦闘再開に含みを持たせた。
停戦の第1段階で解放予定の人質のうち、残る生存者は6人とされる。トランプ政権で中東問題を担当するウィトコフ特使が合意で定められた日程より早く6人を解放するよう交渉していると報じられているが、ハマスが受け入れるかは未知数だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕15日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで、赤十字国際委員会(ICRC)に引き渡される人質の男性(AFP時事)
2025年02月15日 20時08分