対イスラエル攻撃「能力ある」=停戦発効半年、武装解除を否定―ヒズボラ幹部インタビュー



イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦が発効して半年。ヒズボラの政治部門幹部で、レバノン国会議員のハッサン・アズアディン氏(68)が時事通信のインタビューに応じ、レバノン南部からヒズボラの部隊が撤退してもイスラエルに対する「攻撃能力は依然としてある」と主張した。また、「レバノン政府や軍は敵(イスラエル)に対抗できるのか」と述べ、レバノン政府が目指すヒズボラの武装解除に否定的な考えを示した。

インタビューは22日、レバノンの首都ベイルート南郊で行った。ヒズボラは2023年10月、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスに連帯を示し、イスラエル攻撃に踏み切った。これに対し、イスラエルは昨年9月にヒズボラの最高指導者だったナスララ師を殺害し、レバノン南部に地上侵攻。ヒズボラは大打撃を受けた。

昨年11月27日に発効した停戦合意では、ヒズボラとイスラエル軍がレバノン南部から撤収すると同時にレバノン軍が同地域に展開する内容だった。しかし、イスラエル軍はレバノン南部の国境付近に設置した5カ所の拠点で駐留を続けている。

アズアディン氏は、イスラエルとの間には軍事的格差があるため、指導部の喪失は織り込み済みだと述べた。「空席は全て埋めた。ヒズボラは終わっていない」と言い張り、組織立て直しをアピールした。

その上で、幾度もレバノンに侵攻したイスラエルに「レバノン政府は何もしなかった」と不信感を吐露。代わりにヒズボラが軍事力を高め「抑止力になっている」と主張した。武装解除に関しては、イスラエルがレバノン南部の拠点や係争地シェバ農場から撤退すれば、ようやく「議論ができる」と語った。

ヒズボラは軍事、財政両面で支援を受けるイランの「代理勢力」と見なされている。隣国シリアでは同じくイランと関係が深かったアサド政権が昨年12月に崩壊。シリアを通るイランからの武器供給ルートが閉ざされたとの指摘がある。

アズアディン氏は、「イランとの戦略的関係は変わっていない」と強調した。シリアに関しては、同国南部にもイスラエル軍が駐留しているにもかかわらず、「残念ながら誰も抵抗していない」と指摘。緊張緩和へイスラエルと接触を続けるシリア暫定政府に警戒感を示した。(ベイルート時事)。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの政治部門幹部で国会議員のハッサン・アズアディン氏=22日、ベイルート南郊

2025年05月29日 12時31分


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