能登半島地震の影響が初めて反映された2025年の路線価で、石川県輪島市の朝市通りは下落率が16.7%(前年4.5%減)に達した。全国各税務署の最高路線価では最大の下げ幅となった。
朝市通りは市内随一の観光地として知られ、コロナ禍前の5年間には約50万~80万人もの観光客が訪れていた。しかし、昨年の元日に発生した能登半島地震の影響で大規模火災に見舞われ、多くの建物が焼損。焼損を免れた一部を除き、今年3月までに全ての建物が解体された。
6月現在、朝市通りは更地が広がっており、工事関係者以外の立ち入りを禁止する看板などが設置されている。自由に立ち入ることはできず、周辺に人けはなかった。
輪島市復興推進課の担当者は「朝市組合との話し合いは進めているが、具体的な再開時期は決まっていない」と説明する。被災前と同じ場所とするか、別の場所へ移転するかも検討中だといい、「再開までにはかなりの年月がかかると思う」と肩を落とした。
地震で多くの家屋が倒壊した同県七尾市でも、市中心部の七尾港線通りで4.1%(同2.0%減)の下落となった。市内には名所の和倉温泉があるが、24年の宿泊客数は23年比85.3%減の約8万7000人にとどまった。地震で施設の傾きやひび割れといった被害が出たため、1年半が経過した6月時点でも半数以上の旅館が休館している。
一方、金沢市では8.5%(同4.4%増)、加賀地域の同県小松市では8.7%(同4.5%増)の上昇となった。地震の被害が小さく、北陸新幹線の敦賀延伸などで観光客が増加したためとみられる。
【時事通信社】
〔写真説明〕能登半島地震で被災し、地価が下落した朝市通り=6月25日、石川県輪島市
2025年07月01日 14時31分