合区解消、意見集約見通せず=参院与野党、秋にも協議体



参院選の合区解消に向け、参院与野党は今秋にも協議体を新設する。合区の対象県は投票率が低迷。今後、隣接していない県同士の「飛び地選挙区」が生まれる可能性もある。各党とも解消を目指す立場では一致するが、都道府県単位の制度維持と、ブロック制の導入で意見が割れ、集約の見通しは立っていない。

7月の参院選では「鳥取・島根」、「徳島・高知」の2合区の投票率が、いずれも全国平均58.51%(速報値)を下回り、徳島県単独の投票率は50.48%(同)で全国最低だった。対象県からは「民主主義に対する信頼が低下している」(平井伸治鳥取県知事)と解消を求める声が相次ぐ。

合区は、参院選挙区の「1票の格差」是正のために導入された。今年1月1日時点の住民基本台帳人口に基づく議員1人当たりの人口が最少なのは福井県(36万3769人)。次いで山梨県(38万8991人)だった。将来的に、離れた両県が合区になる可能性もあり、制度の限界が指摘されている。

各党でつくる参院改革協議会は6月、合区解消を提言する報告書をまとめ、関口昌一参院議長に提出。ただ、選挙制度の詳細は「意見の集約が困難」として結論を先送りした。

自民党は、都道府県単位の選挙区と全国比例の現行制度を維持するのが基本路線だ。当初は、憲法改正で14条の「法の下の平等」に例外規定を設け、「1票の格差」の制約を取り除く案を示したものの、ハードルが高いと判断。選挙関連の法改正で解消する考えに転じた。

立憲民主、国民民主両党も都道府県単位を重視。法改正による合区解消を掲げる。

これに対し、公明、日本維新の会、共産3党は全国を複数に分けるブロック制を訴える。都道府県単位より大きな地域区分に人口密集地と過疎地が組み込まれることで、「1票の格差」是正に直結するとの考え方による。

協議体は参院選の結果に基づき構成。躍進した参政党などの参加も見込まれる。2028年参院選での合区解消を目指すが、各党の主張は「平行線」(自民中堅)のまま。議論が進展するかは不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕街頭演説に臨む石破茂首相(自民党総裁)=7月19日、徳島市

2025年08月10日 07時14分


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