真相不明、拭えぬ不安=邦人男児刺殺1年―中国・深セン



【香港時事】中国南部・広東省深セン市で昨年9月、日本人学校に登校中の男子児童=当時(10)=が刺殺された事件から18日で1年。犯人の中国人の男は故意殺人罪で死刑判決が確定し、刑が執行された。ただ、裁判では日本人を意図的に狙ったのかなど事件の真相が明らかにされず、在留邦人の安全に対する不安は払拭されていない。

「またいつ同じような凶悪事件が起きるか分からず、常に不安が付きまとう」。日本人駐在員はこう漏らす。深セン日本人学校に通う児童・生徒は昨年4月時点で273人だったが、今年8月までに205人に減少した。

事件を受け、学校周辺やスクールバスの乗降場所などで警備が強化された。学校近くの道路には公安当局の車両が止まり、不審な動きを監視。通行人を職務質問するなど厳戒態勢が敷かれている。

9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた「敏感な日」に当たる。習近平政権は今年を「抗日戦勝80周年」と位置付けており、この日の前後に反日感情が高まると懸念されている。

男児が通っていた深セン日本人学校は18~19日を休校とすることを決定。同省広州市や上海市などの日本人学校は18日の授業をオンラインに切り替えた。

男児は昨年9月18日、保護者と共に登校中、刃物で腹部を刺され、翌日未明に死亡した。深セン市中級人民法院(地裁)は今年1月、現場で拘束された鐘長春・元死刑囚について、「インターネットで注目を集めるために刃物を購入して何ら罪のない児童を殺害した。極めて悪辣(あくらつ)だ」と認定。死刑を言い渡した。

中国では昨年6月にも東部・江蘇省蘇州市で、日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が刃物で切り付けられて負傷し、案内係の中国人女性が死亡。犯人の男は死刑判決を受け、刑が執行された。

【時事通信社】 〔写真説明〕日本人男児が刺された現場付近=2024年9月、中国広東省深セン市

2025年09月18日 14時31分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース