赤沢氏「最低税率確保」強調=国内メーカー、影響注視―米医薬品関税



トランプ大統領が米国に輸入される医薬品に100%の関税を課すと表明したことに対し、赤沢亮正経済再生担当相は26日の閣議後記者会見で「日米合意で『最恵国待遇』を確保している。共同声明でも明記した」と強調した。他国に対する最も低い税率が適用される同待遇が実行されれば、日本の関税率は15%にとどまる。ただ、医薬品関税の扱いは大統領令に明記されておらず、約束通り高関税を回避できるか不透明感が残る。

トランプ氏の説明では、米国内で製薬工場を建設中の企業は高関税措置の対象外となるが、除外条件の詳細は示されていない。赤沢氏は「米国の動向を注視し、わが国への影響を精査しつつ適切に対応する」と警戒を解かない。

赤沢氏は今月6日にも記者団に、医薬品関税に関する大統領令が発出されていないことから「決着はついていない」との認識を示していた。

2024年の貿易統計によると、米国は医薬品の輸出総額の3割強を占める最大の輸出先で、国内の製薬会社にとっては高関税の回避は重要な課題。既に多くの企業が米国に製造工場を持っているが、「米国での自社生産機能をさらに拡充することも含めて対応策を検討している」(第一三共)との声が聞かれた。

富士フイルムは25日、米南部のバイオ医薬品製造工場が完成したと発表したばかりだ。年内に米製薬大手などからの受託生産を開始する予定だ。

ただ、業界関係者は関税除外の条件に関し、「米国内の工場の有無で判断するのか。発言の意味を精査しなければ分からない」と戸惑う。トランプ政権は、日本が強みを持つ工作機械への追加関税を検討するための調査にも着手。関税を税収源や対外的な交渉ツールとして利用するトランプ氏に各国が振り回される展開は続きそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕富士フイルムが米ノースカロライナ州に開設した米バイオ医薬品製造工場(同社提供)

2025年09月27日 07時04分


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