小林・高市氏、防衛費増を主張=自民総裁選、財源論乏しく



自民党総裁選(10月4日投開票)は、ロシアのウクライナ侵攻や中国の軍事的威圧などを踏まえ、外交と安全保障も論点だ。小林鷹之元経済安保担当相や高市早苗前経済安保相は防衛費のさらなる増額を主張。他の3候補も防衛力強化には前向きだが、国民の負担増につながりかねない財源に関する議論は低調だ。

政府は、防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする目標を掲げる。財源確保へ法人、たばこ2税を2026年4月から引き上げるが、所得税の増税時期は決まっていない。さらに、トランプ米大統領は欧州各国に5%へ増額するよう要求している。

小林氏は「自らを守る意志のない国を誰も守ってくれない。2%では到底足りない」と指摘。財源には触れず「速やかに分析をする中で積み上げていく」と語った。高市氏はドローンや電磁波攻撃への対応、自衛官の処遇改善といった課題を並べ、「3.5%より高くなるかもしれないが(必要経費を)積み上げて対応するのが大事だ」と述べるにとどめた。

小泉進次郎農林水産相は「金額ありきではなく、具体的な中身を検討し、財源も確保しながら必要な金額を確保したい」。林芳正官房長官は「(増額が)必要であれば米国とも調整しながら次の段階に行く」とし、「財源の議論は同時にやらなければいけない」と語った。「防衛力をさらに強化する」と訴える茂木敏充前幹事長を含め、所得税の増税時期すら考えを明らかにしていない。

外交では、いずれの候補も日米同盟を軸とした同志国連携の強化を主張。外交が得意だと自負する茂木氏は、「トランプ氏から『茂木はタフだ』と言われながら交渉をまとめてきた。経験をフル活用して力強くしたたかな外交を展開する」と呼び掛ける。

高市氏は昨年の総裁選で打ち出した靖国神社参拝について今回は明言せず、「いかに戦没者を慰霊し平和を祈るか適切に判断する」。中国に対し、安保上の懸念があるとしながら「率直に対話を重ねていく」と語り、韓国とも「関係を深化させる」と述べて現実路線をアピールしている。

北朝鮮による日本人拉致問題については、小林、茂木、高市各氏は金正恩朝鮮労働党総書記とのトップ会談に意欲を表明。林、小泉両氏は米国をはじめとする国際社会への働き掛けを強める考えを示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕5回目の試験航海の帰港時に撮影されたとされる中国海軍の空母「福建」(中国のSNSより)

2025年09月28日 07時04分


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