石破茂首相は30日、韓国・釜山を訪れる。李在明大統領との会談に臨み、首脳が相互訪問を重ねる「シャトル外交」の継続を確認する。退陣を表明した首相の最後の外国訪問となる見通しで、日韓関係の改善基調を次期政権につなげたい考えだ。10月1日に帰国する。
首相の訪韓は就任後初めて。両首脳は6月にカナダで初顔合わせし、8月23日に李氏が初来日して2回目の対面会談を行った。3回目の今回で相互往来の形が整う。
会談では、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致。北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題を巡る共同歩調を確認する。
首都への一極集中という課題を共通して抱える点を踏まえ、地方創生や少子高齢化についても意見交換する。首都のソウルではなく南東部の釜山を会談場所とすることで、「地方」重視の姿勢を示す。
退任を控えたタイミングでの訪韓には、首脳同士の良好な関係を後任へ着実に引き継ぎたいとの首相の思いが込められている。外務省幹部は「シャトル外交を定着させる。革新系の李政権の下で関係を維持することは重要だ」と指摘する。
李氏は就任後、反日姿勢を封印して「実用外交」の方針を取る。安全保障分野で日韓、日米韓の連携を深めることに前向きな姿勢を示してきた。
ただ、何らかのきっかけで「歴史問題」が再燃する可能性は否定できず、日本政府関係者は「警戒感を拭えない」と本音を漏らす。韓国側も、首相が石破氏から代わることで関係が後退する事態を懸念している。
【時事通信社】
〔写真説明〕石破茂首相(写真左)と韓国の李在明大統領
2025年09月28日 07時11分