マイナンバーカードと保険証を一体化した「マイナ保険証」を活用し、救急業務の迅速化・円滑化を図る「マイナ救急」の仕組みが、10月1日から全国の消防本部で導入される。救急現場で患者本人が受診歴や服用薬などを説明できない場合でも、救急隊員がマイナ保険証を読み取ることで、必要な情報を確認できるようになる。
救急現場では、一般的に患者本人や家族から受診歴などを口頭で確認しているが、症状によっては説明できなかったり、服用している薬を家族が把握していなかったりする場合も多い。
マイナ救急では、患者の同意を得た上で救急隊員がカードリーダーを使い、マイナ保険証を読み取ることで、患者の医療情報などを照会できるオンラインシステムに接続。閲覧した情報に基づいて、受診歴のある病院に搬送したり、搬送先に持病を伝えて受け入れ準備を進めてもらったりする。患者の意識がない場合は、例外的に同意なしで閲覧できる。
総務省消防庁は2024年5月から、一部の消防本部で実証事業を実施。参加した救急隊員から「患者の持病や服用歴などをスムーズに把握できるようになった」といった声が上がったことなどを踏まえ、全国に720ある消防本部全てに拡大することにした。
デジタル庁によると、マイナ保険証の登録件数は25年7月末時点で約8500万件。総務省消防庁の担当者は「特に、高齢者や持病のある人は日頃からマイナ保険証を持ち歩いてほしい」と話している。
【時事通信社】
〔写真説明〕マイナ救急の実演訓練をする神奈川県平塚市消防本部の救急隊員(デジタル庁提供)
〔写真説明〕マイナ救急の実演訓練をする神奈川県平塚市消防本部の救急隊員(デジタル庁提供)
2025年09月27日 14時31分