大阪・関西万博の会場を一周約2キロの長さで囲み、シンボルとなった世界最大の木造建築物「大屋根リング」は、北東の約200メートル分がレガシー(遺産)として会場跡地に保存される。また、9月末には、残りの木材の一部について、昨年の能登半島地震と豪雨で甚大な被害を受けた石川県珠洲市が復興公営住宅の建設資材として使用することが決まった。
保存されるのは、会場内の「大阪ヘルスケアパビリオン」の跡地に隣接する区域。腐食対策や階段設置などを行った上で、大屋根部分に上れる構造とする。総費用は約55億~90億円と試算される。大阪市は、周辺を含めた約3.3ヘクタールを公園として管理する方針。
リングは当初、閉幕後に全て解体・撤去する方針だったが、大阪府の吉村洋文知事らが残すよう求め、一部保存が決まった。万博の運営収支は最大280億円の黒字となる見込み。リングの保存費用について、吉村氏は「剰余金を充てるべきだ」と主張する。剰余金の扱いなどは今後、政府の有識者会議で議論する見通しだ。
珠洲市が復興公営住宅に使用するのは、リングの約1200立方メートル(約1500本分)の木材。同市は、700戸の仮設住宅を建設する必要があり、万博で大人気だったリングの木材を活用することで、復興の象徴の一つとしたい考えだ。
一方、会場跡地の大半は更地にした後、隣接地で開発が進む、カジノを含む統合型リゾート(IR)と連携した空間として再整備する予定。サーキットやアリーナなどの建設案が検討されている。
【時事通信社】
〔写真説明〕大阪・関西万博の「大屋根リング」。閉幕後、一部保存されることなどが決まっている=13日午後、大阪市此花区
〔写真説明〕大阪・関西万博の「大屋根リング」。閉幕後、一部保存されることなどが決まっている=13日午後、大阪市此花区
2025年10月14日 07時04分