トランプ米政権が、日本にロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を停止するよう求めたことが波紋を広げている。ベセント米財務長官はウクライナ侵攻を続けるロシアから日本がLNGの購入を続けていることに関し「いかなるロシア産エネルギー購入も代替されるべきだ」と発言。国内の産業界は「不透明感が増した」として、調達への影響を注視する構えだ。
財務省によると、2024年のLNG輸入量のうちロシアの割合は8.6%。二酸化炭素(CO2)排出量が少ないエネルギー源として、安定供給の観点から調達先の分散化を進めてきた。
一方、日本を含む先進7カ国(G7)は、22年に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシア産石炭の禁輸など経済制裁を加えてきた。ただ、LNGは、ロシア産への依存度が高い欧州などを踏まえ、制裁の例外となっていた。
しかし、今回ベセント氏はロシア産のエネルギー購入全ての代替を要求した。トランプ政権はアラスカ州のLNG開発に意欲を示し、日本も投資を求められているが、総額6兆円を超すとされる巨額コストが課題だ。
代替の要求を受けた欧州連合(EU)は全面禁輸措置の前倒しを検討、日本政府も「国益を考えながら決める」(関係者)と話す。極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に投資する三井物産と三菱商事は政府と連携しながら対応を検討する方針だ。
ロシア産からアメリカ産のLNGに代替する可能性について、電気事業連合会の林欣吾会長は17日の記者会見で「アメリカのLNGは埋蔵量が豊富で非常に魅力的だ」と述べた上で、ロシアも「調達先の多様化、安定供給の面で大切な輸入先だ」との考えを示した。
【時事通信社】
2025年10月18日 07時16分
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