APEC首脳会議が閉幕=宣言、WTO重要性言及せず



【慶州(韓国)時事】日米中など21カ国・地域で構成するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が1日、韓国・慶州で閉幕した。首脳宣言も採択した。まだ公表されていないが、従来盛り込まれていた世界貿易機関(WTO)の重要性について言及しない見込みだ。保護主義に傾斜する米国の強い反発に配慮した形で、表現が後退。自由貿易体制への逆風を浮き彫りにした形となった。

首脳宣言では、全ての国・地域の利益を促進する「貿易・投資環境の重要性」に触れる方向。昨年の首脳宣言ではWTOを自由貿易体制の「中核」と位置付けていた。人工知能(AI)や人口動態の変化に関する文書もそれぞれ採択した。一方、閣僚声明ではWTOの重要性に触れる方向だ。

首脳会議では、トランプ米大統領が不在の中、中国の習近平国家主席が存在感を示した。習氏はWTOを自由貿易体制の「中核」と位置付けた上で、多くの国と同様、改革の必要性も指摘した。協調路線をアピールした形だ。

一方、米国からはベセント財務長官が代理出席。初日の10月31日の討議で「世界の経済成長の強固な基盤を構築するため、貿易関係を再調整している」と関税政策を正当化した。多国間の自由貿易体制を支持する立場から距離を置く姿勢を鮮明にした。

【時事通信社】 〔写真説明〕アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、記念撮影に臨む高市早苗首相(右から4人目)ら=1日午後、韓国・慶州

2025年11月01日 14時04分


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