
同居する女児に十分な食事を与えず衰弱させたなどとして、警視庁捜査1課は11日、保護責任者遺棄容疑で、東京都内の30代の母親と20代の内縁の夫を再逮捕した。内縁の夫は容疑を認め、母親は「おかゆは与えていた」と容疑の一部を否認している。
捜査関係者によると、女児は保護された際、約5カ月前より体重が約10キロ減少していた。自力で歩行や食事ができず、おむつをはかされていたという。2人は女児のきょうだい3人に対する暴行容疑でこれまでに2度逮捕されており、同課は日常的に子どもを虐待していたとみて調べている。
再逮捕容疑は1日1食にするなど女児に十分な食事を与えなかった上、7月中旬ごろには低栄養状態で体調が悪化していると認識していたのに、虐待の発覚を恐れて医療機関を受診させなかった疑い。
女児の顔や体には複数のあざやたばこの火を押し付けられたような痕があり、直接的な暴行を受けていた疑いもあるという。
女児が預けられていた知人宅を訪問した関係者が8月、「異常な痩せ方をしている子どもがいる」と児童相談所に通報。連絡を受けた警視庁が9月に家宅捜索し、押収したスマートフォンや見守りカメラなどを調べたところ、日常的な虐待行為が発覚した。2人は「いらいらしてやった」などと供述している。
この家には中学生から未就学児まで複数の子どもがおり、全員が児相に保護された。年長者が下の子どもたちの世話をして、学校などにもほとんど通わせてもらえなかったという。
近くに住む女性は「いつも雨戸が閉まっているので、どうしているのかと思っていた」と話し、別の近隣住民も「小さい子どもの泣き声がよく聞こえていた。学校に通っていないようで気になっていた」と振り返った。
同庁は、一般からの通報で早期保護につながったとして、「異変を感じたら児相虐待対応ダイヤル『189(イチハヤク)』に通報してほしい」と呼び掛けている。
【時事通信社】
〔写真説明〕児童相談所虐待対応ダイヤル「189(イチハヤク)」の活用を呼び掛けるポスター(こども家庭庁ホームページより)
〔写真説明〕警視庁本部庁舎=東京都千代田区
2025年11月11日 12時38分