
【台北時事】台湾・台北市中心部の繁華街や台北駅で19日、男が刃物や発煙弾などで市民らを連続して襲い、20日までに3人が死亡、11人が重軽傷を負った。男は市内の無職、張文容疑者(27)で、押し入った商業ビルから転落して死亡した。無差別襲撃事件とみられ、普段から治安の良さを誇る台湾社会に衝撃が広がっている。
台湾メディアによると、張容疑者は帰宅ラッシュ時間帯の19日夕、鉄道の要衝である台北駅の地下通路で、ガスマスクを装着して発煙弾を投げたり火炎瓶で火を付けたりした。止めに入った男性(57)は背中を刺され死亡した。
容疑者はその後、地下街を歩いて隣の中山駅周辺へ移動。地上で刃物を振り回しながら商業ビルに入り、買い物客らを襲った。ビルは人通りが多い交差点に面し、隣には日系百貨店もある。
検察当局は、張容疑者が転居先を申告せず、兵役に関連する「教育召集令」を送付できなかったとして7月に指名手配していた。
警察によれば、容疑者は台北駅へ赴く直前、バイクなどに放火していた。中山駅近くのホテルに宿泊しており、商業ビルに入る前、部屋に戻って凶器を補充したとみられている。警察が関係先を家宅捜索し、火炎瓶などを発見した。
頼清徳総統は20日、警政署(警察庁)を訪れ、「全面的かつ広範な調査」によって容疑者の動機などを解明するよう指示した。
対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所(日本大使館に相当)によれば、日本人の被害は確認されていない。
【時事通信社】
〔写真説明〕警察やメディア関係者が集まる中山駅近くの襲撃事件現場=20日、台北市
〔写真説明〕20日、台湾・台北市で、襲撃現場となった商業ビルの前に手向けられた花束
2025年12月20日 20時59分