
【ワシントン、台北、北京時事】米政府は17日、台湾に対する武器売却を承認し、議会に通知したと発表した。台湾が支払う費用は総額で約111億ドル(約1兆7000億円)に上る。高市早苗首相の台湾有事発言の撤回を要求するなど、台湾問題に神経をとがらす中国は強く反発している。
売却するのは、高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)や対艦ミサイル「ハープーン」、対戦車ミサイル「ジャベリン」など。台湾への武器売却は11月に続き、第2次トランプ政権下では2度目。今回は多くのミサイルを含み、金額も異例の規模となった。
米政府は声明で「受け取る側の安全保障の向上に寄与し、地域の政治的安定、軍事的均衡、経済発展の維持につながる」と述べた。
中国外務省の郭嘉昆副報道局長は18日の記者会見で「台湾海峡の平和と安定を深刻に破壊し、『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送った」と米国を批判。「断固たる反対と強烈な非難」を表明し、対抗措置を示唆した。
トランプ大統領は10月に中国の習近平国家主席と会談。来年4月には訪中も予定している。レアアース(希土類)供給などで中国との緊張が高まったが、関係安定化を目指してきた。
一方、台湾の頼清徳政権は米側の後ろ盾を得ながら中国に対抗するため、米国からの武器購入に積極的だ。台湾国防部(国防省)は18日、米政府の決定に「心からの感謝」を表明した。
【時事通信社】
〔写真説明〕米軍の高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)=9月3日、インドネシア・バトゥラジャ(同国軍提供)(EPA時事)
〔写真説明〕米ホワイトハウス=ワシントン(EPA時事)
2025年12月18日 18時07分