「MAGA」結束に揺らぎ=陰謀論巡り対立―トランプ米大統領に不満も



【ワシントン時事】トランプ米大統領を熱狂的に支持する政治運動「MAGA(マガ)」の結束が揺らいでいる。11月にMAGA派の代表格だったマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が辞職を表明したのに続き、運動をけん引してきた活動家チャーリー・カーク氏の殺害事件を巡り、同氏の妻とMAGA系インフルエンサーの対立が表面化。与党共和党にとっても、足並みの乱れは懸念の種となっている。

グリーン氏の離反は、少女らを性的に搾取した罪で起訴され勾留中に死亡した富豪ジェフリー・エプスタイン氏の関連文書の公開を求めたグリーン氏と、当初反対したトランプ氏の相違が主な原因だ。専門技能を持つ外国人労働者受け入れ用のビザ廃止を唱えたグリーン氏は、IT産業に配慮し全廃に踏み切らなかったトランプ氏への不満も募らせていた。

今月に入ってからは、9月のカーク氏殺害に外国政府や同氏に近い人物が関与していたと示唆する「陰謀論」をSNSで唱えていた活動家キャンダス・オーウェンズ氏に対し、カーク氏の妻エリカ氏が「やめてほしい」と要求。オーウェンズ氏は、カーク氏が創設した保守系団体「ターニング・ポイントUSA」(TPUSA)の元幹部だったこともあり、仲間割れとして注目を集めた。

TPUSAは、別の泥仕合の舞台にもなった。保守派の論客ベン・シャピロ氏が今月下旬に4日間の日程で開かれた同団体のイベントで、ナチスを肯定する白人至上主義者と対談した元保守系テレビ司会者タッカー・カールソン氏を「陰謀論と不誠実さを売り物にしている」と糾弾。この後登壇したカールソン氏も反撃し、「MAGA内の亀裂が露呈した」(FOXニュース)と評された。

NBCニュースが今月発表した世論調査によると、共和党員のうち「自身は伝統的な党支持者というよりMAGAの賛同者だ」と回答した割合は、4月時点の57%から50%に低下した。共和党の支持基盤でもあるMAGA賛同者の間に冷めた空気が広がれば、2026年11月の中間選挙に影響が出かねない。

TPUSAのイベントでは、エリカ氏が28年大統領選の候補としてバンス副大統領を支持すると表明。最終日に演説したバンス氏は、保守陣営内の混乱を念頭に「私たちには互いを排除し合うよりはるかに重要な仕事がある」と中間選挙に向けた結束を呼び掛けた。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領=6月20日、東部ニュージャージー州モリスタウン(AFP時事)

2025年12月25日 07時04分


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