NGOのガザ支援、継続に懸念=イスラエル政府が「選別」―来年初、退去の恐れ



【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザで、多くの国際NGOが来年支援活動を継続できるかどうか危ぶまれている。イスラエル政府が導入したNGOの登録制度によって、同国に批判的な団体が事実上排除されるとみられているからだ。イスラエル政府の「選別」で登録を拒否されたNGOは来年2月までに退去を求められる恐れがある。

イスラエル政府は今年3月、ガザを含むパレスチナ自治区で活動するNGOを対象として新たな登録制度を導入すると発表した。新制度では、現地スタッフの住所をはじめとする詳細な情報の開示を要求。全てのNGOに12月31日までに登録することを義務付け、登録されなければ60日以内にヨルダン川西岸やガザから職員を撤退させなければならないと定めた。

登録の基準として「イスラエルの正統性を否定する活動」の有無などが挙げられているが、具体的にどのようにして判断が行われるのか不明だ。国連やNGOは「恣意(しい)的で政治化された制度だ」と指摘。現地スタッフの安全が脅かされるとして個人情報の提供を拒む団体も少なくないとされる。

英BBC放送によれば、これまでに約100団体が申請し登録されたのは21団体。有力な国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」を含む14団体が登録を認められず、他の団体は審査中という。

審査中のNGOには日本の複数の団体が含まれている。あるNGO関係者は時事通信の取材に、「あらゆる条件やプロセスが不明瞭だ」と語る一方、登録されなかったとしても何らかの形で活動を続ける方針だと強調した。

国際医療団体「国境なき医師団(MSF)」も審査中だ。MSFは22日の声明で「(登録されなければ)ガザで大勢の人が命に関わる医療を受けられなくなる」と危機感をあらわにした。

イスラエルはガザの境界を管理しており、未登録のNGOは物資を搬入できなくなる。約2年に及んだイスラエルとイスラム組織ハマスによるガザでの戦闘は10月に停戦が発効した。ガザは荒廃したままで、多数のNGOが活動できなくなれば復興が遅れ住民にとって大きな痛手となる。

【時事通信社】 〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで地元NGOが運営する診療所=8月13日(AFP時事)

2025年12月26日 07時00分


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