「家族に胸張れる人生を」=癒えぬ悲しみ、現実受け入れ―妻子4人亡くした大間さん・能登地震2年



現実を受け入れてきた1年だった―。金沢市に住む石川県警の警察官、大間圭介さん(43)は、2年前の能登半島地震で妻子4人を亡くした。いまだ癒えぬ悲しみを抱えながらも、懸命に前を向く大間さん。「家族に『頑張ってきたよ』と胸を張って伝えられる人生を歩んでいきたい」と話している。

妻はる香さん=当時(38)=の実家に家族で帰省中だった2024年1月1日、一家だんらんを地震が襲った。1度目の揺れの後、大間さんは仕事に行くため家の外に出た。その瞬間、さらに大きな揺れが発生した。

裏山から土砂が崩れ、家の中にいたはる香さんと長女優香さん=同(11)、長男泰介君=同(9)、次男湊介ちゃん=同(3)=が巻き込まれた。義父母らを含め計9人が犠牲になった。

普段の買い物やテレビCMで家族連れを見掛けるたびに家族がいないことを実感する。大間さんは「やっぱりつらい。2年たっても気持ちはあまり変わらない」としながらも、「少しずつ現実を受け入れてきた1年だった」と振り返る。

被災直後の24年1月下旬から、連絡先が分からない妻や子どもたちの友人らとつながろうと、インスタグラムを始めた。家族の誕生日や結婚記念日に、家族旅行などの思い出の写真を投稿している。今では「投稿を見て家族のことを忘れずにいてほしい」との思いが強くなっているという。

投稿のためにスマートフォンで写真をじっくり見返すと、喪失感にさいなまれ、深く落ち込んでしまうこともある。それでも、多くの人から寄せられるメッセージは励みにもなり、「みんなが知らない家族の一面を伝えていけたら」と話す。

「自分のために生きるというよりは、人に喜ばれることをしていきたい」と大間さん。今年11月からは、自宅近くの子ども食堂で児童らの遊び相手をするボランティアに参加し始めた。「一日一日を無駄にせず、最期は家族に胸を張って『頑張ってきたよ』と言える人生を歩んでいきたい」と穏やかな表情で語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕能登半島地震で亡くなった家族の写真を見詰める大間圭介さん=6日、金沢市 〔写真説明〕インタビューに応じる大間圭介さん=6日、金沢市

2025年12月30日 07時13分


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