再審見直し、異例のスピード審議=法制審2月にも答申、批判も



刑事裁判をやり直す再審制度の見直しに向け、法制審議会(法相の諮問機関)の部会の議論が異例のハイペースで進んでいる。2025年4月に始まり、これまで14回開催。26年の通常国会への刑事訴訟法改正案提出を目指し、2月にも答申をまとめる構え。弁護士らは法務省側の進行を「拙速だ」と批判している。

部会は12月に3回開かれ、年明けの1月6日に第15回会議を予定するなど頻度を一段と加速。法務省が示した素案に基づく検討が急ピッチで進む。25年3月発足の危険運転部会が10カ月で8回、23年に答申をまとめた性犯罪部会が1年4カ月で14回開催だったのと比べて倍近く早いペースだ。同省の担当者は「ほとんど寝ずに資料を作っている」と話し、現場への負担も強まる。

スピード審議に反発も広がる。部会の委員を務める鴨志田祐美弁護士らは12月12日、「次の議論に備える時間すら与えられない」として「拙速との批判を免れない」とする意見書を部会に提出。日本弁護士連合会も24日、議論の進め方に「深刻な懸念を表明する」とした会長声明を出した。

法務省側が審議を急ぐ背景には、静岡県の一家殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さんが24年に再審無罪となったことが大きい。死刑確定から無罪まで44年を要したことが、再審制度の不備を浮き彫りにし、見直しを求める世論を後押しした。

25年に入り超党派の議員連盟が改正法案を作成。野党6党は6月、議連がまとめた法案を国会に提出した。議員立法が先行する中、法務省が政府案の取りまとめを急ぎ、主導権を確保したい思惑もあるとみられる。

部会は意見集約を進めるが、検察官の不服申し立て禁止など主要論点で議論は平行線をたどったまま。委員からは合意形成が不十分な中、強引に答申がまとまることへの懸念も出ている。

【時事通信社】 〔写真説明〕再審制度の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)部会の会合=23日、法務省

2025年12月30日 07時07分


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