
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は今年、5年目となる。トランプ米政権が和平仲介を試みるが、合意への道のりは遠い。軍事・外交の両にらみでロシアに有利な条件を引き出したいプーチン政権は、米ロ中心の交渉にシフトするための「ウクライナ外し」を画策。欧州など関係国を巻き込んだ主導権争いが活発化しそうだ。
◇新たな情報戦
トランプ政権は25年、ロシアとウクライナによる直接協議を3年ぶりに再開させたが、実務レベルで立場の溝を埋められずに頓挫。8月の米アラスカ州での米ロ首脳会談でロシア寄りの立場を示した米国はその後、ロシアの要求を踏まえて28項目の和平案を起草。これに対し、ウクライナのゼレンスキー政権は欧州の後ろ盾を得て内容を20項目に修正した。
プーチン政権は25年末、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領と対面で会談した直後、新たな情報戦に出た。「ウクライナがロシア北西部の大統領別邸にドローン攻撃を行った」という主張を展開し、これをプーチン大統領から電話で聞かされたトランプ氏は「非常に腹が立つ」と同調した。
ウクライナが否定するのを無視し、ロシアは「今後は米国との和平交渉と対話を優先する」(ペスコフ大統領報道官)と強調。折しも米ロ首脳は両国間の作業部会設置で合意しており、トランプ氏の「取り込み」を強化するもようだ。
対するゼレンスキー氏は1月にも欧州首脳を交えてトランプ氏と再会談し、和平の修正案の具体化を進めたい考えだ。米国がロシアとウクライナのどちらに耳をより傾けるかが、26年の和平交渉を左右することになるとみられる。
◇離れる民心
こうした中、ロシアでは厭戦(えんせん)ムードが高まっている。独立系世論調査機関レバダ・センターの25年12月の発表によると、和平交渉を望む国民は66%に増加。侵攻継続を訴える人は25%に減少し、数値の差は過去最大となった。
プーチン氏は「ウクライナが(ロシアに有利な)和平を望まなければ、すべての問題を武力で解決する」と威嚇するが、戦時経済の減速や世論の動向を踏まえると長期戦は必ずしも得策でなく、和平交渉に取り組まざるを得ない側面もある。
一方、戦況で劣勢のウクライナは、政界が汚職疑惑に揺れて「内憂外患」の状態にある。世論調査会社SOCISは最近、仮に近く大統領選が行われた場合、ゼレンスキー氏は決選投票で敗北する公算が大きいと発表した。同氏は、和平交渉で最大の懸案である領土問題について国民投票に委ねる考えだが、求心力が低下する中、ロシアへの事実上の領土割譲について国民の支持を得るのは一層困難になりそうな状況だ。(時事)。
【時事通信社】
〔写真説明〕(左から)ウクライナのゼレンスキー大統領、トランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領(AFP時事)
2026年01月02日 07時12分