汚職の影響払拭アピールか=新司令官就任直後に演習―中国軍



【北京時事】中国軍は30日も台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。ただ、軍では汚職による高官の失脚が相次ぎ、組織運営への影響も指摘されている。今回の演習は、そうした見方を払拭する狙いもあるとみられる。

演習の主体となった東部戦区では10月、林向陽前司令官が汚職で共産党籍の剥奪処分を受けた。同戦区で政治工作を統括する劉青松政治委員も公式の場に姿を見せておらず、失脚が取り沙汰されている。

林氏の後任には、楊志斌氏が就いたことが今月明らかになった。楊氏にとって、今回は司令官として初の大規模演習とみられる。失脚した前任者のカラーを消すため、演習名を4月の演習「海峡雷霆―2025A」に続く「B」にせず「正義使命―2025」に変更した可能性がある。

軍では10月に林氏のほか、最高指導機関である中央軍事委員会の副主席だった何衛東氏や同委員だった苗華氏に加え、陸軍政治委員や海軍政治委員、ロケット軍司令官や武装警察司令官らの処分が発表された。今月27日には、武装警察政治委員が事実上失脚したことも明らかになった。

陸軍司令官、海軍司令官の動静も途絶えているほか、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、空軍の司令官と政治委員も今月22日の上将昇進式をそろって欠席した。昇進式は習近平国家主席(中央軍事委員会主席)が出席する軍の重要行事で、同紙は「(失脚が疑われる)他の高官を想起させる」と伝えた。

台湾の武力統一も辞さない構えの習政権は、11月に3隻目の空母「福建」を就役させるなど軍備増強を急いでいる。だが、軍では汚職が根絶できず、重要ポストの空席が続いているのが実情だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕中国の習近平国家主席=2024年12月、マカオ(EPA時事)

2025年12月30日 19時02分


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