奥能登の事業者、続く廃業=1年で2.9倍、地元信金取引先―進む設備復旧、再生へ正念場・半島地震2年



能登半島地震から2年を経た石川県の被災地で事業者の廃業が高いペースで続いている。人口流出が進む中、後継ぎの不在や事業に展望を見いだせないことなどが理由だ。設備の復旧は今年度に入って本格化しており、豊かな地域資源を生かして「稼ぐ力」を復活できるか、再建は正念場を迎える。

興能信用金庫(能登町)の1日までの調べによると、主要エリアとする奥能登4市町で地震後に廃業した取引先は2025年11月末時点で408事業者と、全体の15.2%に上る。24年末時点の廃業は142事業者(5.3%)で、この1年で2.9倍になった。

若い世代が地元を離れ、後継者不在や働き手不足が著しい。同信金の田代克弘理事長は「昔から過疎や高齢化など社会的課題の先進地と言われてきたが、地震によって5年、10年先の未来が到来した」と状況の厳しさを語る。

県によると、4市町では中小企業などの設備復旧を最大15億円助成する「なりわい再建支援補助金」の申請が25年度に入り本格化。349件が採択され、26年度にかけて再建がピークを迎える。

人口減少を前提に、原状復旧ではなく、新たな市場に打って出る事業者も現れた。珠洲市狼煙町の漁港で旅館「狼煙館」を経営していた井淵康仁さん(46)は地震で建物の解体を迫られ、観光客も当面は期待できないことから旅館再建を断念。活路を見いだしたのが海藻の加工販売業だ。

珠洲市ではカジメやもずくなど多彩な海藻が採れ、旅館で提供した際の「お客さんの喜ぶ顔が忘れられなかった」。補助金で加工施設を新たに建て、通信販売で観光客に頼らない商売を目指す。

能登は漆器、日本酒、塩など、高い付加価値で「外から稼ぐ力」があるという田代理事長。販路開拓などでの支援のほか、事業承継にも力を入れる。「ただ『後継ぎがいないからやめた』ではなく、きちんと事業の価値を評価して売却・購入することで新たな付加価値を獲得できるようにしたい」。

【時事通信社】 〔写真説明〕取材に応じる興能信用金庫の田代克弘理事長=2025年12月15日、金沢市 〔写真説明〕仮設事務所で事業再開の準備をする井淵康仁さん=2025年11月18日、石川県珠洲市

2026年01月02日 07時10分


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