
【香港時事】香港の高等法院(高裁)は9日、日刊紙・蘋果日報(リンゴ日報、2021年に廃刊)の創業者、黎智英氏(78)に対し、国家安全維持法(国安法)違反など3件の罪で禁錮20年を言い渡した。高齢の黎氏にとっては終身刑に近い厳しい判決。国際社会で「民主派重鎮の抑圧」に対する非難の声が一段と高まるのは必至だ。
黎氏は長年、香港の民主化運動を支援してきた。裁判は、20年に中国主導で国安法が施行された香港で言論弾圧の象徴として注目され、同氏には国安法関連で最も重い量刑が下された。
高裁は量刑言い渡しで、黎氏の犯罪行為は「重大」と指摘。外国勢力との共謀は「周到に計画された」と断じ、同氏を「首謀者」と認定して量刑基準を引き上げたと説明した。
香港政府トップの李家超行政長官は、黎氏の量刑について「法の支配」を示すものだと評価。一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「78歳の黎氏にとって禁錮20年は死刑に等しい。このような重刑は残酷で、極めて不当だ」と批判した。
今年1月に情状酌量を検討する審理が開かれ、弁護側は黎氏が高齢で、約5年にわたる拘束で健康状態が悪化していると訴えていた。
一方、黎氏と共に同法違反罪に問われた同紙元幹部を含む8人には9日、禁錮10年~6年3月が宣告された。8人は罪を認めたが、黎氏は唯一、全面的に否認して無罪を主張していた。
高裁は昨年12月、黎氏が論評記事や米国の政治家との面談を通じ、外国政府に中国や香港への制裁を呼び掛けたと認定。外国勢力と結託して国家安全への危害を共謀した罪や、政府への憎悪をあおる出版物発行を共謀した罪で、今回の量刑判断に先立ち有罪を言い渡していた。
黎氏を巡っては、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席に釈放の検討を要請。有罪判決に対し、先進7カ国(G7)外相は共同で非難声明を出している。
【時事通信社】
〔写真説明〕日刊紙・蘋果日報(リンゴ日報)創業者の黎智英氏=2020年6月、香港(AFP時事)
2026年02月10日 12時47分