
東京都千代田区の再生医療医院が提供計画から逸脱して試薬を混ぜていた問題で、厚生労働省は20日、再生医療安全性確保法に基づき、同医院の管理者に業務改善命令を出した。立ち入り検査の結果、提供計画に記載がない複数の医師による細胞投与や、医療提供に起因すると疑われる疾病の発生を報告しなかったなどの法令違反も確認された。
同省などによると、問題の医院は「一般社団法人志鴻会
銀座鳳凰クリニック」。管理者の永井恒志院長が提出した計10件の「再生医療等提供計画」や「変更届」に記載されていない複数の医師が、幹細胞や樹状細胞を用いた培養細胞の投与をしていたという。
同法は医療機関に提供計画の作成を義務付けており、提出時や変更時の不記載、虚偽記載には罰則がある。
また、同院ではがん治療や予防目的で樹状細胞を用いた培養細胞を投与する際、トキソイドやピシバニールなどの医薬品や試薬を混合させ、その一部しか提供計画に記載していなかった。同院関係者によると、細胞投与だけでは効果が実感しにくいため、発熱などの免疫反応を引き起こすものを混ぜていたという。医療関係者は「人体にどういう影響が出るか分からない危険な行為」と指摘する。
さらに、再生医療提供後、障害につながる恐れがある症例や、感染症による疾病が発生していたにもかかわらず、提供計画の安全性を審査する認定委員会に報告していなかったことも判明した。
同院を巡っては、60代の外国人女性に幹細胞を点滴する際、提供計画に記載せずに「NAD+」と呼ばれる試薬を混ぜて投与していたことが昨年11月に発覚。行政指導を受け、同院は同12月に改善報告書を提出した。
しかし、厚労省が今年1月21日、改善状況の確認のために立ち入り検査を実施したところ、改善措置を実施していない上、今回の処分理由となった複数の法令違反が明らかになった。
【時事通信社】
〔写真説明〕改善命令を受けた銀座鳳凰クリニック院長が薬の混合を指示するLINE。「DC」は樹状細胞の投与、「OK432」は医薬品ピシバニールを指す(一部加工しています)(同院関係者提供)
2026年02月20日 14時21分