「一緒に先生になろうね」=亡き友との約束が支え―春に教壇へ、高橋さん・宮城・石巻市―東日本大震災15年



宮城県石巻市で被災した宮城教育大4年の高橋輝良々さん(22)は4月、県内の小学校の教員になる。「一緒に先生になろうね」。15年前の津波で命を落とした親友との約束は、憧れの職業を目指す支えとなった。もし、再会がかなうなら「ありがとう」と伝えるつもりだ。

市立門脇小の1年生だった3月11日。同級生と下校中に突然、強い揺れに襲われた。近くの墓石がゴロゴロと音を立てて崩れていった。一緒にいた児童の提案で学校に引き返し、高台へ避難した。その後、家族と合流し、近くの施設で数日過ごした。

後に、同じクラスだった親友が津波で亡くなったと聞いたが、「あまり実感がなかった」と話す。ただ、年齢を重ねるにつれ喪失感が強くなった。2022年、震災遺構となった母校で、クレヨンの写真の展示を見た。親友が使っていたものだった。改めて「もう会えないんだ」と痛感した。

親友とは、幼稚園の時から仲が良かった。学校ではいつも一緒。自由帳に絵を描いたり、鬼ごっこをしたりして遊んだ。「勉強も運動もできる子だった」という。

ジャングルジムで遊んでいた時、「小学校の先生になりたいんだよね」と言うと、「私もだよ。一緒になろう」と返してくれた。「今でも覚えているほど、うれしかった出来事」と振り返る。

それから15年。教員になりたいという思いが揺らがなかったのは「夢を追い続けることが親友との思い出を大事にすることにつながる」と考えたからだ。教員になるというぼんやりとした願望を強い気持ちへと変えてくれた親友にいま、もし会えたら「ありがとうと伝えたい」と話す。

春からは「子どもたちにたくさん愛情を注げる教員になりたい」と意気込む。震災を知らない子どもたちに自身の被災体験を伝える語り部として活動してきた体験を生かし、「大切な人たちの命を守れるように、誰よりも高い意識を持って防災教育に取り組みたい」と話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕展示されたクレヨンの写真を見ながら、亡くなった親友との思い出を話す高橋輝良々さん=1月20日、宮城県石巻市の震災遺構「門脇小学校」 〔写真説明〕震災遺構となった門脇小学校の卒業生で、今春、教員になる高橋輝良々さん=1月20日、宮城県石巻市

2026年03月03日 16時02分


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