
ニュース価値の決定に女性が関わることを目指し2024年に新設された一般社団法人「日本女性記者協会(JWJA)」が、女性記者のキャリアアップ支援などに取り組んでいる。代表理事の秋山理砂さん(59)は「同じ事実でも男女では見え方が異なることがある。日々ニュースを伝えるメディアこそ変わらないといけない」と訴える。
秋山さんは現在神奈川新聞社理事だが、協会設立の転機は自身が同社編集局長だった約4年前の出来事だ。新聞社などの編集部門のトップが集まる会議に参加したが、出席した数十社の編集局長らの中で、女性は秋山さんを含め2人だけだった。「メディアは圧倒的多数の男性によって成り立っていると感じた」と振り返る。
日本新聞協会の調査によると、25年4月時点での新聞・通信社の女性記者の割合は26.6%。女性の管理職は10.8%、役員は5.7%にとどまる。
「多様なニーズに応えるニュースを届けられているだろうか」。秋山さんがそうした問題意識を深めたころ、韓国で報道機関各社が参加する韓国女性記者協会(KWJA)主催の交流イベントに誘われた。23年秋にイベントに参加すると、KWJAが1961年の設立以降、女性記者向けの研修などに取り組み続けていると知った。
秋山さんは日本でも同様の団体を設立したいと考え、24年11月には同じイベントに参加した別の報道機関で働く女性記者5人とともにJWJAを設立。毎月の勉強会で意見交換を重ね、昨年11月に東京都内で設立記念フォーラムを開催した。
フォーラムでは国内の女性記者ら約270人に実施した調査結果も発表。昇進機会について「男性記者の方が多い」との回答が45.8%だったのに対し、「女性記者の方が多い」はわずか1.4%だった。
JWJAでは今後、管理職などの幹部クラスを育成する研修にも取り組む。秋山さんは「管理職になれば責任は増えるが、自分で決められる範囲も増え、やりがいもある。もっと多くの国内の女性記者とつながり、悩みや経験を共有して声を上げていきたい」と力を込める。
【編集後記】秋山さんは現在の編集現場について、男性中心となっており、何がニュースに当たるかの判断基準が「固定的」になっていると指摘する。その上で「読者からの多様なニーズに応えるため、編集現場の判断基準を変えることも必要だ」と語っていた。
読者のニーズに合わせるため、ニュース価値決定の場にも多様な人材がいないといけない。当たり前のことだが、その重要性を改めて気付かされた取材だった。(時事通信社会部記者・大野稜介)。
【時事通信社】
〔写真説明〕新聞を手にインタビューに応じる日本女性記者協会の秋山理砂代表理事=2月12日、横浜市
〔写真説明〕国際女性デー2026
2026年03月03日 14時31分