来訪者数、2年連続減少=被災地の震災伝承施設、持続へ岐路―カギは「質の向上」・東日本大震災15年



東日本大震災の被災地に整備された震災伝承施設の来訪者数が2023年をピークに2年連続で減少した。震災から15年を区切りに運営を支える財源の交付が打ち切られるケースもあり、持続可能な伝承活動に向けた施設の取り組みが問われている。

震災伝承に取り組む団体や個人をつなぐ公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」(宮城県石巻市)の調査によると、岩手、宮城、福島各県にある伝承館や震災遺構など42施設の来館者は2025年、計150万3844人で、新型コロナ禍を除いて初めて減った昨年に続き、2年連続で減少した。県別では宮城が前年を上回ったが、岩手、福島は減少し、全体を押し下げた。

ある自治体の担当者は来館者減少について「震災を知らない世代も増え、風化への懸念は強い」と危機感を募らせる。

来館者減少の要因について、施設側からは昨秋、東北地方で相次いだクマ出没や、修学旅行など団体の利用減の影響を指摘する声が上がる。ただ、同法人は、展示内容などへの評価が高く、同じ学校が繰り返し訪れるなど、質の向上に向けた取り組みをしている施設は来訪者を増やしていると分析する。

伝承施設「いのちをつなぐ未来館」(岩手県釜石市)の来館者は年間約3万人前後で、ここ数年は横ばいが続く。遠隔地の学校などにオンラインで出前講座をしたり、語り部を派遣したりして、施設まで足を運びにくい新規層を開拓し、将来的な来館につなげる取り組みに力を入れる。

修学旅行や企業研修など団体客の誘致も模索するが、課題は人材の確保だ。来館者から被災体験者による解説を望む声は多いが、同館に常勤する語り部は1人だけ。語り部の高齢化は各地の伝承施設に共通する悩みで、担当者は「当時小中学生だった世代の起用が理想だが難しい」と明かす。

震災から15年を区切りに岩手と宮城両県では復興関連予算が縮小・終了する一方、福島県では引き続き財源が確保される見通し。復興に関する発信や教育旅行の予算に開きも出ており、伝承活動は大きな転換点を迎えている。

【時事通信社】 〔写真説明〕岩手県大槌町の震災伝承施設「大槌町文化交流センター」=1月25日、同町

2026年03月11日 16時03分


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