「経験、伝えるのが使命」=元東北大生教諭、次世代に―神戸・東日本大震災15年



神戸市灘区にある私立六甲学院中学校・高等学校で生物の授業と防災教育を担当する山口紘史教諭(38)は、東日本大震災当時、東北大4年生として仙台市に暮らしていた。「(大きな災害があった神戸と仙台の)2カ所で生活した者として語る使命がある」と、震災を知らない生徒に自身の体験を伝えている。

大震災発生時は学会発表で札幌市にいた。「ちょっと揺れている」と感じた程度だったが、津波が押し寄せるテレビ映像で事態の深刻さを理解した。「自分の知っている場所が流されていた。少しずつ何が起きたか分かった」と振り返る。

山口さんは阪神大震災2年後の1997年から10年近く、兵庫県西宮市で暮らしていた。公園に仮設住宅が立ち並んでいたかつての光景を思い出し、「札幌にいる自分ができることをしたい」との思いに駆られた。

人脈をたどり、阪神大震災の被災者に手当たり次第に連絡した。「紙皿にラップを貼れば再利用できる」などと避難所で役に立った経験を聞き取り、仙台にいる友人に伝えた。

2011年5月、友人に誘われ、宮城県沿岸部の七ケ浜町を訪れた。かつて、サークルの友人とスイカ割りなどをした思い出の場所だった。大震災から時間を置いて訪ねたのは「(波に流されて)何もないということは分かっていたが、現実として受け入れるのが怖かった」のが理由だ。

面影が跡形もなく消え、コンテナが漂着したままの町の光景に涙が出た。ただ、海岸に打ち寄せる波はかつてと変わらなかった。「自然の雄大さに圧倒された」という。

六甲学院では毎年1月、スキー合宿をする中学2年生に同県南三陸町などの被災地を訪問させている。事前学習を担当する山口さんは当時の経験を子どもたちに話している。

強く伝えたいのは「地震前の日常」の大切さだ。七ケ浜町の海岸で遊ぶ自身の写真や、米グーグルの地震前後の画像を比較できる「未来へのキオク」というサービスを利用し、地震前の景色を見せて訴える。「自分に重ね合わせて、(災害が起きたときに)どうするかを考えてほしい」。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える六甲学院中学校・高等学校の山口絋史教諭=1月23日、神戸市灘区 〔写真説明〕震災後に宮城県七ケ浜町の海で撮影した写真(画面)と六甲学院中学校・高等学校の山口絋史教諭。震災前にサークルでよく訪れていた海の変わり果てた姿に思わず涙が流れたという=1月23日、神戸市灘区 〔写真説明〕自身が体験した東日本大震災の経験を伝える授業を再現する六甲学院中学校・高等学校の山口絋史教諭。スクリーンの写真は震災後に訪れた宮城・七ケ浜町の海。変わり果てた姿に涙が流れたという=1月23日、神戸市灘区

2026年03月07日 16時47分


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