
鉄道駅の無人化により移動の自由を侵害されたとして、大分県内の障害者6人がJR九州(福岡市)に損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、大分地裁である。弁護団によると、駅の無人化を巡り、障害者への配慮不足を問う訴訟は全国初。視覚に障害がある原告の釘宮好美さん(51)=大分市=は「社会全体が障害者をどのように捉えているかを問う裁判だ」と訴えている。
釘宮さんが目の異変に気づいたのは高校3年生のころ。20歳で進行性の病気と判明。27歳でほとんど見えなくなり、1人での外出が難しくなったが、10年ほど前に盲導犬との生活を始め、再び外出が楽しみになった。現在はラブラドールレトリバーのチェロ(3)がいつも一緒だ。
ところが、JR九州が2017年、大分市内の駅を一部無人化すると発表。「また外出困難者になってしまう」と絶望的な気持ちになったという。
車いす利用者や脳性まひの原告らが起こしていた訴訟に加わったきっかけは、ふるさとのJR津久見駅(同県津久見市)で22年12月、視覚障害を持つ高齢女性が特急にはねられて死亡した事故だった。女性は駅員が不在となる時間帯に、ホームから転落したとみられる。
「私にもあり得ることだ」と感じ、翌年2月の3次提訴に名を連ねた。意見陳述では裁判官らに「アイマスクを付けて白杖(はくじょう)でホームを歩いてほしい」と何度も訴えたが、実現しなかった。JR側は事前連絡を受け職員を派遣するほか、遠隔で対応するシステムを導入するなどの対応をしているとして、請求棄却を求める姿勢を崩していない。
判決を控えた19日に開かれた集会で「私たちは誰かの支えがないと1人で行動できない」と訴えた釘宮さん。裁判所に対し「JR側に安全管理を徹底するよう指示を出すくらい踏み込んでほしい」と期待している。
【時事通信社】
〔写真説明〕駅無人化訴訟の判決を前に開かれた集会で話す原告の釘宮好美さんと盲導犬チェロ=19日、大分市
2026年04月22日 07時03分