AIの波に乗らない記者=ルール確立訴え―世界報道自由デー



5月3日は「世界報道自由デー」。現在、報道現場が直面している課題は、人工知能(AI)といかに向き合っていくかだ。生成AIは仕事に効率化をもたらす一方で、不正確な情報・画像の作成や責任の不透明さなど深刻な問題を抱える。米CNNテレビなど世界各地で活躍する記者たちに取り組みを聞いた。

◇「AIは代行できない」

インドの首都ニューデリーを拠点にしてCNNのニュース番組でキャスターを務めるスカーニャ・サーハ氏は、印メディア業界はAIの活用を「あまり推奨していない」と明かした。「AIを使ったら、記事の新鮮さや明快さ、偏りのない性質が損なわれてしまう」ためという。

サーハ氏は長時間のインタビューなどの後、AIを使って文字起こしすることがある。「使い方には善しあしがある」と断った上で、「AIを使うことで自分が怠惰になってはいけない。ジャーナリストの仕事は戦地で取材したり、国境で難民に会ったりすることで、AIが私たちの仕事を代行することはできない」と言い切った。

フランスのクーリエ・アンテルナショナル紙は2022年11月にリリースされた対話型AI「チャットGPT」が急速に普及し始めたころ、社内でAI専門チームを編成した。しかし同紙で東アジアを専門とするダニエル・バスタード記者は、「私たちはAI活用を急いでいない。ミスをすることを少し恐れているし、最後は自分の責任で仕事をする」と語った。

◇「トランプ」が果物の名前?

バスタード氏がAIを活用するのは、中国語の長文記事を翻訳するときだ。「(AIは)興味がある部分を抽出するのに役立つ。しかし時々、トランプ米大統領が『四川グレープフルーツ』などと翻訳されたり、重要な部分が抜けたりすることもある」とも指摘する。同紙は4月から翻訳記事に記者の署名を入れるルールを導入。AIではなく人間が責任を持って翻訳したことを明示する狙いがある。

チェコのセズナム・スプラヴィ紙の科学記者で、AIアプリを開発したパヴェル・カシーク氏は、AIの技術が発展しても「記者の役割の原則は変わらない」と断言。AIを情報源として使わないことやAIを使った場合はそれを明確に示すなどルールの必要性を強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕スマートフォン画面に映る対話型人工知能(AI)「チャットGPT」のアイコン=3月7日、ドイツ南部ミュンヘン(dpa時事) 〔写真説明〕(写真左から)米CNNテレビのスカーニャ・サーハ氏、仏クーリエ・アンテルナショナル紙のダニエル・バスタード氏、チェコのセズナム・スプラヴィ紙のパヴェル・カシーク氏(それぞれ本人提供)

2026年05月03日 07時03分


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