
石油関連製品の原料となる「ナフサ」の供給不安を受け、ニュースや国の説明に対して「デマ」「偽情報」などと非難する投稿がSNS上で広がっている。6月には確保できなくなる、との報道を高市早苗首相が「事実誤認」と強く否定したのがきっかけ。これに対して政府の説明こそデマだとの声も出て、情報の真偽を巡る議論は過熱気味だ。
時事通信は分析ツール「ブランドウォッチ」を活用。ナフサやナフサ由来製品の不足に関して「デマ」「偽情報」「虚偽」といった言葉を使ったX(旧ツイッター)の投稿数(リポスト含む)を調べた。
イランで戦端が開かれた2月末から1日当たり平均数十件で推移していたが、4月5日に首相が供給途絶の見方は「事実誤認」だとする投稿をXへ上げると急増。同日以降は1日平均3000件近くとなっている。
木原稔官房長官も記者会見で「誤った情報を拡散しないように」と呼び掛けた。そうした対応が影響してか、当初は「デマをあおるな」「デマを拡散させるやからに処罰を」など、不足を主張する側への非難が目立った。
だが、住宅設備機器大手のTOTOが4月13日にユニットバスの新規受注停止を発表すると(その後に再開)、今度は「デマを言ったのは政府」「現場の困窮をデマ扱いしている」と国にも矛先が向いた。翌14日の投稿は2万1000件余りに跳ね上がった。
カルビーがポテトチップスの包装を白黒にすると発表した5月12日も、投稿数は1万8000件超。国の言い分に不信感をあらわにする内容が目立った。
政府はこれまで「日本全体として必要量は確保されているが、流通の目詰まりが生じている」と訴えてきた。だが、現状はそれが浸透していないことを示している。
リスクコミュニケーションが専門の土田昭司関西大学社会安全学部教授は「さまざまなナフサ由来製品のうちどれが足りていないのか説明を尽くすべきで、単に『目詰まりがある』では不十分だった」と指摘。「情報は納得できるから信頼するわけで、疑心暗鬼を生まないためにも丁寧な説明が必要だ」と話す。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=22日、東京・永田町
2026年05月23日 14時30分